鼻血は医学的には「鼻出血(びしゅっけつ)」と呼ばれ、鼻の粘膜や血管が傷つくことで起こります。多くは物理的な刺激(鼻を強くかむ、ほじるなど)が原因ですが、中には鼻の病気や全身の疾患が関係している場合もあります。特に、繰り返す鼻血や止まりにくい出血には注意が必要です。
本記事では、「鼻血が出る原因」と「鼻血が出た際に可能性のある病気」について解説します。原因を正しく理解することで、適切な処置や医療機関の受診につながります。
目次
鼻血の原因は、物理的な刺激と病気に大きく分けられます。
物理的な刺激には、鼻を強く何度もかむ、くしゃみを連発する、鼻をほじるなどが含まれます。病気の場合は、「鼻の病気や異常」と「全身の疾患」が原因として考えられます。鼻の病気や異常には、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎、鼻中隔の湾曲などが含まれ、これらによって鼻粘膜が弱くなり、出血しやすくなることがあります。
全身の疾患では、高血圧や動脈硬化、血液の病気(白血病や血小板減少症など)によって血管がもろくなったり、血液が固まりにくくなったりすることで、鼻血が頻繁に出ることがあります。
一般的なのは、片側の鼻から血が流れ出るタイプで、前方からの出血が多くみられます。この部分は毛細血管が密集しており、ちょっとした刺激でも出血しやすいのが特徴です。鼻を強くかんだり、乾燥によって粘膜が傷ついたりすることで出血が起こります。出血の量は少量で、自然に止まることも多いですが、ティッシュに血が付着する程度から、ぽたぽたと滴るような出血まで幅があります。血がのどに回って飲み込んでしまうと、気分が悪くなったり、吐き気を感じることもあります。
まれに鼻の奥の方(後鼻部)からの出血が起こることもあります。これは比較的深い部位にある動脈から出血するため、量が多く、止まりにくい傾向があります。両方の鼻から出ることや、のどに流れ込む血液によって嘔吐や吐血と誤認されることもあります。
鼻血が出た場合は、落ち着いて椅子に腰をかけ、顔を少し下に向ける姿勢をとることが大切です。顔を上に向けると、血液がのどに流れ込み、吐き気や嘔吐の原因になることがあります。出血している側の鼻の柔らかい部分を指でしっかりつまんで圧迫し、5分から10分ほどそのままにしておくと、多くの場合は自然に止まります。途中で何度も確認すると再出血しやすくなるため、一定時間はそのままの状態を保ちます。止まった後もしばらくは安静にし、鼻を強くかんだり、ほじったりするのは避ける必要があります。冷たいタオルや氷などで鼻や額を冷やすと、血管が収縮して止血を助ける場合もあります。
出血がなかなか止まらない、繰り返し起こる、出血量が多いといった場合は、耳鼻科を受診することが望ましいです。
鼻血を予防するには、鼻の粘膜を乾燥から守ることが重要です。特に冬場や空気の乾燥した室内では、加湿器を使ったり、マスクを着用したりすることで鼻の内部の湿度を保つことができます。また、鼻を強くかんだり、頻繁にほじったりすることは粘膜を傷つけやすく、出血の原因となるため避けるようにします。
アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎など、慢性的な鼻の疾患がある場合は、症状を放置せずに治療を続けることが予防につながります。血圧が高い方や、抗血栓薬など出血傾向を高める薬を服用している方は、医師の指示のもと体調管理を行うことも大切です。
「チョコレートを食べると鼻血が出る」という話はよく聞きますが、医学的にはっきりとした根拠はありません。チョコレートそのものに血管を破れやすくする成分が含まれているわけではなく、直接的に鼻血を引き起こす食品ではないとされています。
チョコレートに含まれるカフェインによって血圧が上がることで鼻粘膜の血管が破れ、出血が起こる可能性は考えられます。また、アレルギー性鼻炎や体質によっては、チョコレートに含まれる特定の成分(ナッツや乳製品など)が間接的に鼻の粘膜に影響を与えることもゼロではありません。しかし、通常の範囲でチョコレートを楽しむことが原因で鼻血が出ることは極めてまれであり、鼻血が頻繁に起こる場合は食べ物よりも体調や疾患の影響を疑うことが大切です。
過度な疲労やストレスが続くと、自律神経のバランスが乱れ、血管の収縮と拡張が不安定になります。これにより、鼻の粘膜にある細い血管がもろくなり、些細な刺激でも出血しやすくなる場合があります。また、睡眠不足や生活リズムの乱れも血流やホルモンバランスに影響し、同様のリスクを高めます。
のぼせは、体温の上昇や血圧の変化によって顔面や鼻の血管が一時的に拡張し、圧が高まることで出血につながることがあります。特にお風呂上がりや激しい運動後、気温差が大きい時期などに起こりやすい傾向があります。特に子どもや高齢者は、体温調整機能が不安定なことがあり、のぼせによる鼻血が起こりやすい傾向があります。普段から水分をしっかり摂る、入浴の際は熱すぎるお湯を避ける、急激な温度変化を避けるなどの工夫が予防には有効です。
花粉症の症状が強く出ている時期は、鼻血が出やすくなる場合があります。花粉症によって鼻の粘膜が慢性的に炎症を起こしやすくなります。アレルギー反応によって鼻の内部が腫れたり充血したりし、それにより毛細血管が拡張した状態が続きます。粘膜が敏感になっていると、ちょっとした刺激でも血管が破れやすくなり、鼻血が出やすくなります。
また、花粉症のかゆみや鼻づまりを和らげようと、頻繁に鼻をかんだり、こすったりすることも大きな原因です。強く鼻をかむことで粘膜に直接的な圧力がかかり、弱くなった血管が切れて出血することがあります。特に乾燥している時期や空気が汚れている場所では、鼻の中の環境がさらに悪化し、出血のリスクが高まります。
さらに、抗アレルギー薬の中には鼻の粘膜を乾燥させる作用を持つものもあり、これが間接的に鼻血の原因となることもあります。粘膜が乾燥すると柔軟性が失われ、小さな刺激でも出血しやすくなります。
鼻血が出たら耳鼻科に相談鼻血は一時的なものが多いものの、繰り返す場合や出血量が多いときには、他の原因が隠れていることもあるため、耳鼻科などでの診察を検討することも必要です。岡山県倉敷市で耳鼻科をお探しの際は、「倉敷 小山耳鼻科・アレルギー科」にご相談ください。