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2024年 11月 14日

花粉症の発症やきっかけは?原因と対策について

花粉症に悩む人

毎年、多くの日本人を悩ませる「花粉症」。くしゃみや鼻水、目のかゆみに苦しんでいませんか?花粉症は日常生活に深刻な影響を及ぼし、集中力の低下や睡眠不足を引き起こすことがあります。「夜にぐっすり眠れない」「何事にも集中できない」「市販の薬が効かなくて困っている」そんなお悩みを抱えていませんか?症状を放置することで、悪化するリスクもあります。症状が現れた場合は早めに医師に相談し、適切な治療や予防策を講じることが重要です。本記事では、花粉症の発症やきっかけ、症状、そして効果的な対策方法について解説します。花粉症でお悩みの方にとって、少しでもお役に立てればと思います。

この記事を書いている人
倉敷小山耳鼻科アレルギー科 副院長
小山 貴久(こやま たかひさ)
(資格)
・医学博士
・日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 専門医
・日本アレルギー学会 専門医
・日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 補聴器 相談医

花粉症とは?

花粉症とは、植物の花粉が原因で起こるアレルギー性の疾患です。日本では、特にスギやヒノキの花粉が原因となるケースが多く、これらの花粉が飛散する春先に症状が悪化する人が多いです。また、花粉症は「国民病」とも呼ばれるほど、日本では多くの人が悩まされています。

アレルギー性鼻炎と花粉症

アレルギー性鼻炎は、通年性アレルギー性鼻炎と季節性アレルギー性鼻炎に分けられます。通年性アレルギー性鼻炎とは、ハウスダスト(ダニ)など季節を問わず存在するものが原因となるものの総称です。一方、季節性アレルギー性鼻炎は、主に花粉など飛散する季節が決まっているものが原因となる場合で、「花粉症」と呼ばれます。したがって、原因となる物質が異なるだけで、鼻の粘膜で起こるアレルギー反応は同じです。

花粉症の発症やきっかけ

花粉症の発症は、植物の花粉に対する免疫系の過剰な反応によるものです。具体的には、花粉が体内に侵入すると、免疫システムがそれを有害な異物と認識し、IgE抗体を生成します。このIgE抗体が肥満細胞と結合し、再度花粉に曝露された際にヒスタミンなどの化学物質が放出されます。これらの物質が鼻水、くしゃみ、目のかゆみなどのアレルギー症状を引き起こします

また、花粉症の発症には「遺伝的要因」や「環境要因」も関与しています。家族にアレルギー体質の人がいる場合、花粉症を発症しやすい傾向があります。さらに、大気汚染や生活環境の変化、食生活なども免疫系に影響を与え、花粉症のリスクを高めるとされています。

花粉症のメカニズム

花粉症の発症メカニズムには、アレルギーを起こす前段階である「感作(かんさ)」と、症状が出現する「発症」の2つの段階があります。

まず「感作」では、花粉が鼻や目の粘膜から体内に侵入し、免疫系がそれを異物と認識してIgE抗体を生成し、これが肥満細胞と結合します。次に「発症」の段階で、再び花粉に曝露されると、IgE抗体と結合した肥満細胞からヒスタミンやロイコトリエンなどの化学物質が放出されます。

これらの物質が血管の拡張や神経の刺激を引き起こし、くしゃみ、鼻水、鼻づまりといった花粉症の症状が現れます。炎症が持続すると組織の過敏性が増し、より少ない花粉量でも強い症状が出るようになり、症状が慢性化することもあります。

感作とは?

感作(かんさ)とは、体の免疫システムが特定のアレルゲン(例えば花粉)に初めて接触し、それを「有害なもの」と誤って認識してしまう状態のことです。このとき、免疫細胞はそのアレルゲンに対する特異的なIgE抗体を作り出し、これらの抗体が肥満細胞に結合します。感作の段階ではまだアレルギーの症状は現れていませんが、体はそのアレルゲンに対して敏感になっています。その後、再び同じアレルゲンに接触すると、肥満細胞からヒスタミンなどの化学物質が放出され、くしゃみや鼻水などのアレルギー症状が引き起こされます。つまり、感作はアレルギー反応が起こるための準備段階といえます。

花粉症の症状

花粉症の主な症状には、くしゃみ、鼻水、鼻づまりといった鼻の症状があります。また、目のかゆみ、充血、涙目などの目の症状も一般的です。さらに、喉のかゆみや違和感、咳、肌のかゆみ、頭痛、倦怠感などの全身症状が現れることもあります。これらの症状は花粉の飛散時期に悪化し、日常生活に支障をきたすことがあります。特に、鼻づまりによる睡眠障害や、目のかゆみによる集中力の低下が問題となることがあります。

花粉が多く飛びやすい条件

花粉が多く飛びやすい時期は、一般的に晴れて気温が高く、風が強くて湿度が低い日です。気温が上がると植物の活動が活発になり、花粉の放出量が増加します。風が強いと花粉が遠くまで運ばれ、飛散量が増えます。また、湿度が低いと花粉が軽くなり、空気中に漂いやすくなります。雨の翌日は一時的に落ち着いていた花粉が晴れると再び飛散しやすくなるため、注意が必要です。さらに、朝の時間帯(特に10時頃まで)は植物が花粉を放出し始めるため、この時間帯は飛散量が多くなります。

花粉の飛散時期は植物の種類によって異なり、日本ではスギ花粉は2月から4月、ヒノキ花粉は3月から5月にピークを迎えます。これらの条件を踏まえて、花粉症の症状が悪化しやすい日には、外出を控えたり、マスクやメガネを着用するなどの対策を取ることが効果的です。

花粉症対策にできること

花粉症対策としてできることはいくつかあります。外出時にはマスクやメガネを着用し、花粉の体内への侵入を防ぐことが効果的です。特に、花粉をブロックするフィルター付きのマスクや、花粉防止用のメガネを使用するとより効果が高まります。また、花粉が多く飛散する時間帯の外出を控えることも重要で、晴れて風が強い日や、雨の翌日の午前中は特に注意が必要です。

自宅では、窓やドアを閉めて花粉の侵入を防ぎ、空気清浄機を使用して室内の空気を清潔に保つと良いでしょう。洗濯物は室内干しにするか、乾燥機を利用して花粉の付着を防ぎます。帰宅後はすぐに手洗いや洗顔、うがいを行い、衣服についた花粉をしっかりと払い落とすことも効果的です。また、生活習慣の面では、十分な睡眠とバランスの取れた食事を心がけ、免疫力を高めることで症状の緩和につながります。また、ストレスの軽減や適度な運動も免疫機能の維持に役立ちます。

花粉症はほっといても治る

花粉症はアレルギー性の疾患であり、自然に完全に治ることは稀です。免疫系は一度感作されると、その記憶を長期間保持します。つまり、特定のアレルゲンに対する過敏性が持続するため、自然に症状が消えることは稀です。また、花粉の飛散時期が毎年訪れるため、免疫系が花粉に曝露される機会が繰り返され、過敏な状態が維持されます。

年齢や体質の変化により症状が軽減する場合もありますが、多くの人にとっては症状が長期間続くことがあります。適切な治療や対策を行わずに放置すると、生活の質が低下したり、症状が悪化する可能性があります。

早めに医師に相談

花粉症の症状を放置することで、慢性的な鼻炎や結膜炎、さらには喘息などの合併症を引き起こすリスクもあります。そのため、症状が現れた場合は早めに医師に相談し、適切な治療や予防策を講じることが大切です。

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